突然、こんなコーナーを始めてしまいましたが、実は前々からバーボンに関するいろいろな話を気さくに書いてみたいなぁ、、、、、と思っておりまして、それを今回実現させたわけです。今回は、「熟成度」というやや耳慣れないお話をしてみたいと思います。

 良く、「ウイスキーは12年以上熟成させなければならない」という話をききますが、バーボンに関しても一緒だと思っていらっしゃる方が多い様です。
 この熟成年数の話は、スコッチウイスキーでの常識であって、バーボンではこの熟成年数の法則は適用されません。では、バーボンは何年熟成させればよいのでしょうか?
 実は、バーボンには「何年」という定量的な熟成期間は存在しません。これはどうしてなのか?その理由を説明していきたいと思います。

 ケンタッキーという場所は、真夏には気温30度を超え冬場には雪が降るという寒暖の差の激しい土地です。しかも、その気候は年々違います。
 ここが、年間を通じ比較的涼しい気候であるスコットランドと異なる点です。
実は、この寒暖の差がバーボンの熟成には必要なのです。
 バーボンウイスキーの場合、内側を焦がした新樽を用い熟成させます。この寒暖の差を利用して、樽の中で激しい呼吸を生じさせて、樽の内側の成分を原酒の中にふんだんに取り込みます。そのために、このような寒暖の差の大きな環境に樽をおく必要があるのです。

 また、ケンタッキーではオープンリック(開架式)と言われる外気をふんだんに取り入れる構造のウェアハウスを用いて熟成されます。このウェアハウスは殆どの場合7階建ての構造になっており、1フロアには樽が3段格納できるような棚が組まれています。
 概ね、一棟のウェアハウスに貯蔵可能なウイスキーは20,000樽(約4,000,000リットル)です。

このウェアハウス内部は真夏には一番暑い場所の気温が50℃近くなり、真冬には一番寒い場所の気温が-3〜-4℃になります。また、ウェアハウスの一番上のフロアは比較的気温が高く、熟成が早く進みます。一方、一番下のフロアは気温が低く、熟成はゆっくり進みます。したがって、一概に「何年熟成させれば完了」と言えないのは、このためなのです。
 蒸溜所によっては、熟成のバラつきを抑えるために、定期的に樽のフロア移動を実施し、一定の品質を保とうとしているところもあります。

 とはいえ、何年熟成させればOKというわけにはいかないのです。
そこで、熟成の具合をテイスティングによりチェックし、熟成のピークを迎えた時点で樽出しとなるのです。
殆どの蒸溜所の場合、6〜8年で熟成のピークを迎えるようです。これを過ぎると、樽の成分が出すぎてしまい、揮発性の樹脂の様な香りや渋み、苦味が強く出てしまいます。
この状態を「過熟成」といいます。

 ですから、オープンリック構造のウェアハウスに12年間樽を置いてしまうと、殆どの場合、過熟成になってしまい、ウイスキーとしての品質が保てなくなります。
 一方、ブリックハウス(石造り)構造のウェアハウスを持つ蒸溜所では、比較的内部の温度が低く保たれており熟成がゆっくり進みます。このタイプのウェアハウスでは、12年熟成で丁度ピークを迎えるものもあります。ですから、12年物が存在しうる物では無いというわけではありません。
 とはいえ、あくまでもバーボンの場合「熟成度」のピークを迎えた時点で眠りから覚めるわけです。

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